なかなか手掛けずに来たのには幾つかの理由があります。
短いサイクルでサイズや仕様が変わっていく物のケースを作ることは、当工房のような仕事の仕方だと無理があります。
一年以上先まで製作予定が決まっている中、あらたな製品開発をスケジュールに組み込むのは難しいのです。
なので、次から次へと新製品が投入される分野のものは手掛ける気にはなかなかなれないのです。
もう一つは当初は私自身がiPhoneを使っていなかったこと。
ケースを作るには、実機が手元に無いとなかなかいい具合に作るのが難しいのですね。
けれど二年程前に私もiPhoneに乗り換えたのです。
それでもケースは作らずに来ました・・・・
自分自身でiPhoneを使っていて、ケースの必要性を感じなかったのでやはり開発せずじまいでいました。
とは言え実は、多くの方から「iPhoneケースは作ってないの?」と言われ何度か試作はして来てはいたのです。
けれど、今一つ定番化に踏み切れなかった。
決定的な事の一つに多くのメーカーがiPhoneケースは様々な仕様で提供しているということもありました。
革のものもしかりです。
すでに様々なところから提供されているのであれば、それでいいのじゃないかなぁ・・・・とついつい天の邪鬼な自分が顔を出すのです。
革の物でよく見るのは、ハードケースに革を貼り込んだ物。
あとは、スリーブタイプのもの。
一般的なスリーブタイプだと縫い代と出し入れのための遊び部分で、本体よりそこそこ大きなものになってしまうので、それは正直気になる点だったりします。
当工房で作るのであれば、当工房らしい物じゃないと作る気になれなかった・・・
火曜の夕方、ある方からお電話を頂いた。
広島のK先生からのお電話。
先日も連絡をいただき、土曜日に札幌入りするから店に顔を出すねとアポを頂いていました。
「ところで、iPhoneケースって作ってないの?」
ごめんなさい、作っていないんですよと答えたものの、何か提案出来ないかな・・・と考え込んでしまいました。
その時、ふっと降りて来たんです。
当工房らしいケースの仕様と言えば、シボリか拝み合わせか、そのあたりが「らしい」と思うんです。
あ、この作りだ!
くるっとiPhoneを巻いちゃうような構造にして、拝み合わせで筒状にする。
そのままだと抜けちゃうので、底からベロ状の帯を筒の内部を通して上部まで持って来る。
これで、捨て寸のあまり無いスリーブが出来る!!
早速型紙を起こし、試作。
きつすぎずゆるすぎず・・・・そして出し入れする使用感も大事。
いくつか試作をしてようやく型が決まりました。
このベロ、それほど動くわけではありませんがちょっと引っ張るとiPhone上部が少しですが顔を出すのです。
ちょっとだけですが、取り出しやすくなるわけです。
背面です。
実はこの作り、7〜8年程前に、カードケースの新しい型を考えていた時に作った構造のバリーエーションだったりします。
その時は結局お蔵入りにしていたのですが、今回日の目を見る事に・・・・
ところで、正面に開けたパンダの穴。
意味はありません(笑)
たんにパンダ好きなだけです。
ま、そういったところも当工房らしいところだと思っています・・・
通知が来て電源が入るとこんな感じ。
ちょっといいでしょ。
(あ、この白いiPhoneケースは非売品です。ごめんなさい。)
※この製品は製作した現品のみの販売となります。受注製作には対応していませんのでご了承下さい。
0 件のコメント:
コメントを投稿