2006年7月1日土曜日

十数ミリのコバ

今は採用していない作り方なのですが、昔こういった感じで手を作っていた時期があります
ダレスバッグなどで使っていた手です



Img_1816






コバに出ている部分で6枚の革の積み上げです
十数ミリのコバとなっています
膨らませてある部分も、夫々2枚か3枚の積み上げから削りだしていた筈ですので一番厚い部分は10〜12枚の革を重ねています



この持ち手は、十年ほど前に作りお使い頂いていたダレスバッグから去年取り外したものです
このダレスバッグをお使いの方は当工房の鞄を幾つかご利用頂いている方なのですが、時折お立ち寄り下さりメンテナンスにお預けくださいます
このバッグの持ち手部分は握る部分はしっかりしていましたが、手カンと接し可動する箇所が弱くなってきたと思い、現状の作り方の持ち手に交換させて頂きました



現在の持ち手は、この力のかかる箇所には革の内部に帆布を仕込み伸び留めとしています
可動箇所にはさらに金属のパイプを仕込む事により、手カンのネジ棒との摩耗を防いでいます
金属パイプが摩耗した時点で新たにパイプを仕込ませて頂ければより消耗を防げます



仕事を続け、ある程度の年数を経過してきますと、このようにお使い頂いたものを拝見する機会が増えてきます
そう言った事からも学ばせていただく機会はたくさんあります
見えない箇所にも、そういった事を反映させています



2 件のコメント:

  1. あきちゃん2006年7月4日 6:55

    「見えない箇所」に技を凝らすって、職人の良心と心意気ですよね。
    京人形でも、本当に良い物は、外からは全く見えない下着にまで技を尽くしているのですね。それは、ボロボロになって最後に棄てられる時に運が良ければ、使う人の眼に留まるに過ぎないのですけれども、本当の職人は其処まで手を尽くす。そういう精神は、実に尊いと思います。
     
    何年かしましたら、私の鞄もメンテナンスを御願い致します。今の所は、その必要が認められませんが。

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  2. あきちゃん様>
    嬉しいお言葉、有り難うございます
    でも本当はこういったことを黙して語らずなのが昔からの職人さんだったりするんだろうなぁとも思ったりしています
    わたしは未熟者なので自身のこういった事を伝える事で私の仕事を分かってもらえるようにしている次第です・・・・
    語らずとも伝えられる域に達せられるよう精進したいと思います
    メンテナンス、必要そうになりましたらいつでもお申し付け下さい

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